小磯良平(1903-1988)は女性の人物画で著名な画家・東京芸大名誉教授であったが、隣家の知友であった武田薬品工業の武田長兵衛の依頼を受け、武田薬品のPR誌「武田薬報」(1956-1968)の表紙のため150枚にわたる薬用植物を画いた。
葉についた虫食いの孔まで忠実に画かれる誠実さに武田薬品京都農場の担当者は閉口したという。現代画家の隠れた作品であるが、植物画として芸術性のあふれた価値の高いものである。大阪の花と緑の万国博覧会に一部が展示され、絶賛を受けた。